逮捕から起訴・不起訴の判断が下るまでの身柄拘束期間は、最大で23日間に及ぶ可能性があり、この期間は「時間との戦い」と言われるほど迅速な対応が求められます。
1. 逮捕から検察官送致まで(最大48時間)
警察によって逮捕されると、警察官は被疑者の身体を拘束した時から48時間以内に、被疑者を検察官に送致する手続(送致)をとらなければなりません。
- 警察での取調べ: 逮捕直後、警察官による「弁解録取」が行われ、事実を認めるかどうかが確認されます。
- 弁護人の活動: この段階での弁護人の最も重要な役割は、「初回接見」です。逮捕直後の被疑者は、今後の見通しが立たず不安な状態にあり、取調官の説得に屈して事実と異なる供述をするリスクがあります。弁護人は一刻も早く接見し、黙秘権や供述調書への署名押印拒否権について適切な助言を行います。
2. 検察官の勾留請求まで(最大24時間)
検察官は、警察から送致された被疑者を受け取った時から24時間以内、かつ逮捕から合計72時間以内に、裁判官に対して「勾留(こうりゅう)」を請求するか、釈放するかを決めなければなりません。
- 勾留請求の要件: 検察官が「勾留が必要」と判断するのは、犯罪の立証ができていること及び犯人性がひとまず認められることを前提に、主に「定まった住居がない」「証拠隠滅の恐れがある」「逃亡の恐れがある」のいずれかの事由がある場合です。
- 弁護人の活動: 弁護人は、検察官が勾留請求を行う前に、勾留の要件がないことを主張する「意見書」を提出し、釈放を促します。
3. 裁判官による勾留の裁判
検察官が勾留を請求すると、裁判官が被疑者と面談する「勾留質問」が行われます,。
- 勾留決定: 裁判官が勾留の理由と必要性を認めた場合、勾留が決定します。
- 勾留請求却下: 裁判官が勾留を認めなかった場合、被疑者は釈放されますが、検察官が不服を申し立て(準抗告)、それが認められるまでは釈放されないこともあります。
4. 勾留期間(最大20日間)
勾留が決まると、原則として10日間身柄が拘束されます。
- 勾留の延長: 10日間で捜査が終わらない「やむを得ない事由」がある場合、検察官の請求により最大でさらに10日間延長されることがあります。
- 弁護人の活動: 勾留決定に対し不服がある場合は「準抗告」を申し立て、決定の取り消しを求めます。また、余罪の捜査を理由とした安易な勾留延長に対しても準抗告などで抗戦します。
5. 起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了までに、検察官は被疑者を裁判にかけるかどうかを判断します。
- 起訴(公判請求): 刑事裁判が請求されます。身柄拘束は「被告人勾留」として継続しますが、この段階から「保釈」の請求が可能になります。
- 略式命令請求: 比較的軽微な事件で、公開の裁判を行わずに罰金刑を求める手続です。罰金を納付すれば釈放されます。もっとも証拠が弱く争えば不起訴になることもあり得る事件があるので、略式起訴に同意するか否かは個別具体的な判断が必要です。
- 不起訴処分: 嫌疑が不十分な場合や、情状により訴追の必要がないと判断された場合(起訴猶予)などは不起訴となり、即日釈放されます。
まとめ:各段階の制限時間
| 段階 | 制限時間 | 通算最大時間 |
| 逮捕から送致 | 48時間以内 | 48時間 |
| 送致から勾留請求 | 24時間以内 | 72時間 |
| 勾留(初回) | 10日間 | 13日間程度 |
| 勾留延長 | 最大10日間 | 計23日間程度 |
逮捕された後の早期釈放を実現するためには、勾留が決定される前の「逮捕から72時間以内」の弁護活動が極めて重要となります。この間に家族の身元引受書や示談の経過報告など、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す資料を揃えることが、その後の運命を大きく左右します。