後遺障害診断書は、自賠責保険における後遺障害等級認定の可否を決定する「最も重要な書類」です。審査は、調査事務所が被害者と直接面談するのではなく、主治医が作成した診断書に基づく書面審査で行われるため、記載内容が認定結果に直結します。
医師に診断書を作成してもらう際、あるいは内容を検討する際に特に強調・確認すべきポイントは以下の通りです。
1. 自覚症状の正確かつ網羅的な記載
- 漏れなく記載する: 残っている痛みやしびれなどの症状をすべて正確に記載してもらう必要があります。診断書に記載されていない症状は、審査の対象になりません。
- 一貫性と連続性: 事故直後から症状固定時まで、症状が一貫して続いていることが重要です。
2. 他覚的所見と検査結果の整合性
- トライアングルの形成: 特に12級以上の認定を目指す場合、「自覚症状」「神経学的所見(テスト結果)」「画像所見(MRI等)」の3つが整合していることが不可欠です。
- 具体的な検査の実施: 医師に対し、必要に応じた神経学的検査(ジャクソンテスト、スパーリングテスト等)の実施と、その結果の正確な記載を依頼してください。
3. 将来の見通し(予後)に関する見解
- 回復困難性の明記: 等級認定には「将来においても回復困難と見込まれる精神的又は身体的毀損状態」であることが要件となります。
- 記載の工夫: 多くの医師は後遺障害認定の実務に精通しているわけではないため、「数年で改善する可能性がある」といった曖昧な記載ではなく、医学的に見て症状が固定しており、改善が困難であるという見解を適切に反映してもらうことが重要です。
4. 症状固定日の妥当性
- 慎重な決定: 症状固定日以降の治療費は原則として賠償対象外となります。治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないと判断された正確な日付を記載してもらう必要があります。
5. 医師への働きかけと協力依頼
- 記載例の提示: 診断書の作成に不慣れな医師も多いため、弁護士が用意した記載例を参考資料として渡すことも有効な手段です。
- 意見書の活用: 診断書だけでは不十分な場合、具体的な仕事や日常生活への支障について医学的見地から補足する「意見書」の作成を医師に依頼することも検討してください。
- セカンドオピニオン: 主治医の協力が得られない場合や、記載内容に疑問がある場合は、他の専門医にセカンドオピニオンを求めることも一つの方法です。
注意点: 診断書を受け取ったら、提出前に必ず「症状固定日」や「自覚症状の内容」に誤りや漏れがないかを確認してください。一度提出した診断書の内容を後から修正することは極めて困難です。