遺言書の「有効性」をチェックする
まず、その遺言書が法的に有効な要件を満たしているかを確認します。不備があれば、遺言そのものを無効と主張できる可能性があります。
• 形式的要件の確認(特に自筆証書遺言): 自筆証書遺言の場合、全文が自筆であるか、日付が特定されているか、署名・押印があるかといった厳格なルールがあり、これらを一つでも欠くと原則として無効になります。
• 遺言能力の有無: 遺言者が作成時に認知症などで遺言内容を理解し判断できる能力(遺言能力)を欠いていた場合、その遺言は無効となります。医療記録や介護記録、長谷川式認知症スケールの点数などが判断材料となります。
• 内容の不備や不正: 内容が不明瞭で特定できない場合や、他人の詐欺・強迫によって書かされた場合、また公序良俗に反する内容である場合も無効の原因となります。
1. 全ての遺言に共通する基本要件
• [ ] 遺言者が作成時に15歳以上であったか(15歳未満が作成した遺言は無効となります)。
• [ ] 遺言能力(意思能力)があったか(認知症などで遺言内容を理解し結果を認識できる能力を欠いていた場合、無効になる可能性が高くなります)。
• [ ] 一人で作成されているか(夫婦連名など、2人以上の者が同一の証書でする「共同遺言」は禁止されており無効です)。
• [ ] 内容が明確(特定可能)か(誰にどの財産を渡すのか、第三者が客観的に判断できる必要があります)。
• [ ] 公序良俗に違反していないか(社会常識に反する不当な内容は無効となる場合があります)。
• [ ] 詐欺や強迫によるものではないか(他人の不正な干渉により作成された意思表示には瑕疵があり、取り消される可能性があります)。
• [ ] 最新の遺言書であるか(内容が矛盾する複数の遺言がある場合、日付が最も新しいものが優先され、古いものは無効となります)。
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2. 自筆証書遺言の形式要件
自筆証書遺言は民法968条により厳格な方式が定められており、一つでも欠けると原則として遺言全体が無効になります。
• [ ] 全文が自筆で書かれているか(財産目録を除き、パソコン作成や代筆、録音・録画によるものは無効です)。
• [ ] 具体的な日付が特定できるか(「令和〇年〇月吉日」のように日が特定できない記載は無効です)。
• [ ] 氏名が自書されているか(氏または名のいずれか、あるいは通称でも本人との同一性が認められれば有効とされます)。
• [ ] 押印がされているか(実印でなくてもよく、認印や指印でも有効ですが、押印がない場合は無効になります)。
• [ ] 財産目録を自書以外(パソコン等)で作成した場合、全てのページに署名・押印があるか(裏面にも記載がある場合は両面に必要です)。
• [ ] 訂正・加筆が正しい方式で行われているか(訂正箇所に押印し、欄外等に「〇字削除、〇字加入」と記載して署名する必要があります。修正テープ等の使用は無効の原因となります)。
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3. 公正証書遺言の形式要件
公正証書遺言は公証人が作成するため形式不備は少ないですが、以下の立会人等の要件が重要です。
• [ ] 証人2人以上の立ち会いがあったか(証人は作成の最初から最後まで立ち会う必要があります)。
• [ ] 証人になれない者(欠格者)が含まれていなかったか(未成年者、推定相続人、受遺者、およびそれらの配偶者や直系血族などは証人になれません)。
• [ ] 遺言者が公証人に内容を「口授」したか(公証人の質問に対し単に頷くだけでは口授とは認められない場合があります)。