遺産分割の対象となる財産か否か

現金

現金は、当然に遺産分割の対象となる財産です。 

預貯金

現在の実務では、預貯金も当然に遺産分割の対象となります。

利息

相続開始後に発生した利息についても、預貯金本体とあわせて遺産分割の対象として処理するのが一般的です。

有価証券(株式・国債・投資信託)

有価証券は、預貯金と同様に遺産分割の対象となる財産です。これらは相続開始と同時に当然に分割されることはなく、協議や審判によって具体的に誰が引き継ぐかを決定します。

    ◦ 上場株式:原則として、遺産分割時(調停成立時や審判時)の直近の終値を基準に評価します,。

    ◦ 非上場株式:客観的な市場価格がないため、当事者間での合意や、専門家による査定、あるいは必要に応じて株価鑑定を実施して評価を確定させます。

配当金・利息

相続開始後に発生した株式の配当金や預貯金の利息も、原則として本体の財産とあわせて遺産分割の中で処理するのが一般的です。

暗号資産(仮想通貨)

暗号資産は、相続分割の対象となります。

評価の注意点:

    ◦ 価格変動が非常に激しいため、遺産の評価を確定する際には、どの時点の時価を採用するかについて当事者間での合意や慎重な検討が必要となります。

出資金

信用金庫や農業協同組合(JA)に預金がある場合、預金とは別に「出資金」が存在することが多く、これも分割対象となります。

投資信託

相続開始と同時に当然分割されることはない性質の財産であるため、遺産分割の対象に含まれます。評価額は口数や基準価額に基づいて算出します。

相続不動産の賃料(発生時期による違い)

賃料については、被相続人が亡くなった「死亡時」を境に、法律上の扱いが明確に分かれます。

死亡に発生した賃料

被相続人が生前に取得していた権利であるため、当然に遺産分割の対象(遺産)となります。

死亡に発生した賃料

 原則: 相続開始から遺産分割が完了するまでの間に発生した賃料は、遺産とは別個の財産(遺産から生じた果実)とみなされます。判例では、これらは各相続人がその相続分に応じて確定的に取得するものであり、原則として遺産分割の対象には含まれないとされています,。

 実務上の取扱い: ただし、不動産を取得した人が賃料もまとめて受け取る方が合理的であるため、相続人全員の合意があれば、遺産分割の中に含めて一緒に分けることが可能です。実際の調停などの現場では、清算の煩雑さを避けるために合意の上で分割対象に含めることが多く行われています。

生命保険金(死亡保険金)

• 原則: 受取人が指定されている場合、保険金請求権は受取人の固有財産であり、相続財産には含まれません。

• 受取人の指定がない場合: 多くの場合は保険約款に基づき遺族の固有財産となり、やはり相続財産にはならないのが一般的です。

• 相続放棄との関係: 生命保険金は相続財産ではないため、相続放棄をした人であっても受け取ることが可能です。

• 特別な例外(特別受益): 他の相続人と比較して受取額が著しく高額で、不公平が到底容認できないほど大きい場合には、例外的に「特別受益(生前贈与に準ずるもの)」として持ち戻しの対象となることがあります。

遺族年金・遺族給付

• 原則: 遺族年金や遺族給付金は、残された遺族の生活保障を目的としたものであり、受給権者固有の財産です。

• 相続財産性: 被相続人の権利ではないため、相続財産には含まれません。

• 相続放棄との関係: 受給資格を持つ遺族であれば、相続放棄をしていても受け取ることができます。

未支給年金

• 原則: 本人が受け取る前に亡くなった年金(未支給年金)も、法律(国民年金法等)によって受給すべき遺族の順位が定められており、その遺族の固有財産とされます。

• 判断: 最高裁の判例でも、相続財産ではなく受取人の固有財産であると判断されています。

死亡退職金

• 原則: 就業規則や支給退職金規定などで受給権者が定められている場合、その受給権者の固有財産となり、相続財産には含まれません。規定の内容が重要なので、場合によっては相続財産になることもあります。

葬儀費用・香典

• 原則: 葬儀費用や香典は、相続開始後(死亡後)に発生するものであるため、原則として相続財産には含まれません。

• 負担の考え方: 葬儀費用は原則として喪主が負担する(香典返しがあるためです。)ものとされていますが、実務上は当事者全員の合意があれば遺産から精算することも可能です。

祭祀財産(墓石、仏壇など)

• 原則: 墓石、仏壇、系譜などの祭祀財産は、慣習に従って祭祀を主宰すべき者が承継するため、一般の相続財産とは区別され、遺産分割の対象にはなりません。

上部へスクロール