不貞行為になるのはどういった行為?

裁判実務において、慰謝料請求の対象となる「不貞行為(不法行為)」には、その親密さや行為の内容に応じていくつかの種類(段階)があり、それによって認められる慰謝料の金額(程度)も異なります。

ソースに基づき、行為の種類とその程度について解説します。

1. 通常の不貞行為(肉体関係)

法律上の「不貞行為」の定義は、原則として「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と肉体関係(性交渉)を結ぶこと」を指します。

  • 内容: 具体的には、男性器を女性器に挿入する行為などを指します。
  • 程度と慰謝料: 婚姻生活の平和を最も著しく害する行為とされ、後述する他の行為に比べて慰謝料の金額が最も高くなる傾向にあります。

2. 性交類似行為

直接的な肉体関係(挿入)に至らなくても、実質的に性交渉と同視できるような「わいせつな行為」も不法行為に含まれます。

  • 内容: 口淫(フェラチオ)、肛門性交(アナルセックス)、手淫(クンニリングス、シックスナイン、素股など)が含まれます。
  • 程度と慰謝料: 通常の不貞行為に準ずる重い責任を問われますが、裁判上の慰謝料額は通常の不貞行為よりはやや下がる傾向にあります。

3. 親密交際(婚姻生活の平和を害する行為)

性交渉や性交類似行為がない場合であっても、通常の社会通念を基準にして、婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある異性との接触があれば、不法行為(加害行為)と認められることがあります。

  • 内容: 継続的に「抱き合う」「キスをする」「服の上から体を触る」といった行為や、ラブホテルに二人で長時間滞在するといった事実がこれに該当します。
  • 程度と慰謝料: 慰謝料の金額は肉体関係がある場合に比べて大きく下がる傾向にあります。
  • 注意点: 単に一度だけ路上でキスをした程度では、婚姻生活の平穏を害するとまでは言えず、不法行為にならないと判断される場合もあります。

4. 特殊なケース

  • 同性同士の行為: 近時の裁判例では、同性同士の性的行為であっても不貞行為にあたると判断される例が出てきています。
  • 風俗店での行為: 性風俗店での性的サービス(枕営業など)については、業務の範囲内であれば不法行為を構成しないとする古い裁判例もありますが、現在は「たとえ動機が業務であっても、婚姻共同生活の平和維持を侵害する以上、不法行為は成立する」とする傾向が強まっています。

まとめ:行為の程度と慰謝料額の相関

裁判所は、不貞行為によって「婚姻共同生活の平和の維持」という法的利益がどの程度侵害されたかによって、慰謝料額を算定します。

【慰謝料額の目安(程度)】

  1. 肉体関係(性交渉)あり: 最も高額
  2. 性交類似行為: 中程度(1より下がる)
  3. 親密交際(キス・抱擁等): 最も低額(大きく下がる)

このように、行為の内容が深くなるほど「不貞の程度」が重いと判断され、精神的苦痛が大きいとして請求額が認められやすくなります。

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