風俗店(デリヘル含む)の利用や、いわゆる「パパ活」が不貞慰謝料の対象となるかどうかについては、「業務の範囲内か」や「肉体関係の有無」によって判断が分かれます。
1. 風俗店・デリヘル等の利用
原則として、性風俗店の従業員が業務として客と性交渉を行うことは、直ちに婚姻共同生活の平和を害するものではないとして、不法行為(不貞行為)が成立しないとする裁判例があります。
- 慰謝料が認められにくいケース: 店内でのサービスや、デリヘルの業務の一環として客の自宅やホテルに出向いて行われる性的サービスは、「業務の範囲内」とみなされ、違法性がないと判断される可能性が高いです。
- 慰謝料が認められるケース: 従業員と客が店外で個人的に連絡を取り合い、私的な関係として肉体関係を持った場合は、通常の不貞行為と同様に不法行為責任を負う可能性が高くなります。
- 特殊な裁判例: 配偶者に秘して不特定多数の男性に性的なサービスを提供する風俗店に勤務し、性交渉を行うことは、婚姻共同生活の平和を害するものとして不法行為を構成すると判断された事例も存在します。
2. パパ活
「パパ活」という言葉自体の法的な定義はありませんが、その活動内容に「肉体関係」が含まれるかどうかが鍵となります。
- 肉体関係(性交渉)がある場合: 自由な意思に基づく肉体関係があれば、金銭の授受があったとしても法律上の「不貞行為」に該当し、原則として慰謝料請求の対象となります。
- 肉体関係がない場合: 性交渉がなくても、食事やデート、抱擁、キスなどの親密な交際が継続し、それが「婚姻生活の平和を害する行為」とみなされれば、不法行為として認められる可能性があります。ただし、この場合の慰謝料額は、肉体関係がある場合に比べて低額(30万円程度など)になる傾向があります。
3. キャバクラ・ホステスなどの「枕営業」
クラブのママやホステスが、顧客との関係を維持するために性交渉を行う、いわゆる「枕営業」についても議論があります。
- 一部の裁判例では、枕営業を「売春婦の場合と同様に、顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎない」として、婚姻生活の平和を害するものではなく不法行為を構成しないと判断したものがあります。
- 一方で、ホステスによる行為であっても不法行為の成立を認める裁判例もあり、個別の状況によって判断が分かれます。
4. 慰謝料が認められるための共通要件
風俗利用やパパ活であっても、慰謝料を請求するためには以下の要件を満たす必要があります。
- 故意・過失: 相手(従業員やパパ活相手)が、利用客が既婚者であることを知っていた(故意)、あるいは不注意で知らなかった(過失)ことが必要です。
- 例えば、キャバクラの客が「自分は独身だ」と嘘をつき、相手がそれを信じたことに落ち度がない場合は、慰謝料請求が認められないリスクがあります。
- 婚姻関係の破綻: 不貞行為が始まる前から夫婦関係が既に破綻していた場合には、慰謝料は認められません。
結論として、風俗店利用は「業務の範囲内」であれば認められにくいですが、個人的な関係に発展した場合や、パパ活などで肉体関係を伴う場合は、慰謝料請求の対象となる可能性が十分にあります。