被害届を出しても、捜査は約束されていない
ニュースなどでよく「警察に被害届を提出しました」という言葉を聞くため、「被害届を出せば警察が動いてくれる」と思っている方も多いでしょう。
しかし実際は、被害届はあくまで「こんな出来事がありました」と申告するだけの書類です。その後に捜査をするかどうかは警察が決めてよく、捜査の状況を被害者に報告する義務もありません。
「警察が動いてくれない」と感じているなら、「この件は今すぐ捜査しなくていい」と判断されて、後回しにされている可能性が高いです。
被害届すら受け取ってもらえないことも
借金・不倫・騒音トラブルなど、犯罪ではない個人間のトラブルは「民事事件」として、被害届を出すことができません(民事不介入の原則)。
ただし、明らかに犯罪の被害にあっているのに「民事事件だから受け付けられない」と断られてしまうケースも実際に起きています。近年、警察庁が全国の警察署に「被害届は、内容が明らかにうそや不合理な場合を除き、すぐに受理するように」と通達を出しているほどです。
警察が動いてくれないときの対処法
① 警察に問い合わせて、捜査を促す
まずは警察に連絡して、捜査の状況を聞いてみましょう。「証拠が見つからず進んでいない」など、状況を教えてもらえることがあります。
ただし「緊急に捜査する必要はないと判断した」と言われた場合、個人で「捜査してください」と訴えても動いてもらえない可能性が高いです。そのような場合は、弁護士などの専門家と一緒に交渉する方が効果的です。
② 刑事告訴をする
被害届とは違い、刑事告訴が受理されると、警察には速やかに捜査して結果を報告する義務が生まれます。
刑事告訴とは、犯罪の被害者本人などが、警察や検察に対して「犯罪がありました。犯人を罰してください」と申告することです。
親告罪に注意!
名誉毀損罪・侮辱罪・同居する家族の間での窃盗罪などは「親告罪」といって、被害者が告訴しない限り警察は動けません。また、親告罪の告訴は犯人がわかった日から6か月以内という期限があります。過ぎると告訴できなくなるので注意しましょう。
「被害届を出したら、告訴状は出せない」は間違い!
警察の窓口でそう言われることがありますが、被害届を出した後でも告訴状を提出することはできます。
告訴状は被害届より受理されにくい
告訴状が受け付けられない主な理由として、「記載内容に不備がある」「証拠が足りない」「犯罪にあたらない」「被害が軽微」などがあります。しっかりした準備が必要です。
③ 弁護士に相談する
刑事告訴をうまく進めるには、専門的な知識と準備が必要です。弁護士に相談すると次のようなサポートを受けられます。
∙ 受理されやすい告訴状の作成
∙ 証拠集めのアドバイス
∙ 警察への同行と、正しく受理するよう強く働きかける
∙ それでも受理されない場合、検察に直接告訴する(直告)など、さまざまな手段で対応
一人で悩まず、刑事告訴の経験が豊富な弁護士にまず相談してみましょう。クラリア法律事務所でも、犯罪被害に遭われた方のご相談をお受けしています。