名誉毀損罪は「親告罪」と呼ばれ、被害者本人が警察や検察に対して「犯人を処罰してほしい」という意思表示(=告訴)をしなければ、犯人が起訴されることはありません。
告訴や刑事処罰には、以下の2つの重要な期限が設けられています。
告訴期間(刑事訴訟法第235条1項)
原則: 被害者が「犯人を知った日から6ヶ月」以内。これを過ぎると告訴できなくなります。
公訴時効(刑事訴訟法第250条2項6号、253条1項)
原則: 「犯罪行為が終わった時」から3年。これを過ぎると検察官が起訴できなくなります。
ここで問題になるのが、「インターネット上の書き込みにおける『犯罪行為が終わった時(起算点)』はいつなのか?」という点です。
最大の争点:「犯罪の起算点」はいつか?
ネット上の名誉毀損において、犯罪が終了した時点(時効や告訴期間のカウントが始まる起算点)については、起算点: 記事が削除された日とする考え方が主流です。
書き込みから何年経とうが、削除されるまでは犯罪が終了していないので、時効は進行しません。
大阪高裁平成16年4月22日判決
ネット上に記事が掲載され閲覧可能な状態が継続している間は被害発生の危険が維持されているとし、「被告人が記事の削除を申し入れて義務を果たした時点」や「管理者が削除した時点」を犯罪の終了時期(起算点)という考え方です。