
1全ての交渉の土台!「証拠」を確実に保存する
交通事故の交渉において、最も重要になるのが客観的な証拠です。事故の状況や損害の大きさを証明するものがなければ、後の交渉が全て不利になってしまいます。証拠は、事故直後から意識して集め、大切に保管しましょう。
【保存すべき証拠の具体例】
(あれば)事故状況を記したメモ: 記憶が鮮明なうちに、事故の発生状況や相手方とのやり取りを詳細に記録しておきましょう。
事故直後の現場写真・車両の写真: 車の損傷箇所、スリップ痕、周辺の道路状況などを様々な角度から撮影します。
ドライブレコーダーの映像: 事故状況を記録した最も強力な証拠の一つです。すぐにデータを保護しましょう。
相手方や目撃者の連絡先: 可能であれば、警察の聴取とは別に、直接連絡先を交換しておくと安心です。
2慰謝料の増額に直結!「適切な通院」を続ける
人身事故の示談金の中で、大きな割合を占めるのが入通院慰謝料です。これは、事故による精神的苦痛に対して支払われるもので、基本的には治療期間や実際の通院日数を基に計算されます。
ここで重要なのが、「痛いときだけ通院する」というだけでなく、「適切な頻度で、医師の指示に従い、治療を継続する」ことです。
【適切な通院のポイント】
- 自己判断で通院を中断しない: 「少し良くなったから」と自己判断で通院をやめると、保険会社から「もう治ったのですね」と判断され、治療の打ち切りや慰謝料の減額を打診される原因になります。
- 医師の指示に従う: 医師が指示する通院頻度を守りましょう。月1回程度の通院では、「治療の必要性が低い」と見なされる可能性があります。
- 痛みや症状は全て正確に伝える: 少しでも痛みや違和感がある箇所は、遠慮せずに全て医師に伝え、カルテに記録してもらうことが重要です。カルテの記録も重要な「証拠」の一部です。
- 整骨院・接骨院への通院は医師の許可を得る: 病院(整形外科)と並行して整骨院等に通う場合、必ず事前に医師の許可を得てください。許可なく通院した場合、治療費や慰謝料が認められないことがあります。
不適切な通院は、慰謝料が低く算定されるだけでなく、将来的に後遺障害が残ってしまった場合に、その症状と事故との因果関係を証明することが難しくなるリスクも生みます。
この「適切な通院実績」という証拠があるからこそ、弁護士は強気の交渉に臨めるのです。
3「弁護士」に相談する
集めた「証拠」と、継続した「適切な通院実績」。これらの武器を最大限に活かし、示談金を正当な金額へと引き上げてくれるのが弁護士です。
なぜ弁護士に依頼すると示談金が増額する可能性があるのでしょうか?それは、弁護士が用いる慰謝料の算定基準が、保険会社の提示額とは全く異なるからです。
- 自賠責基準: 国が定めた最低限の補償基準。
- 任意保険基準: 各保険会社が独自に設定している基準。自賠責基準よりは高いですが、次の弁護士基準よりは大幅に低いことがほとんどです。
- 弁護士基準(裁判所基準): 過去の裁判例を基にした、法的に最も正当とされる基準。3つの基準の中で最も高額になります。
保険会社は、営利企業であるため、通常は「任意保険基準」で計算した示談金を提示してきます。被害者本人が交渉しても、なかなか「弁護士基準」まで増額させることは困難です。
しかし、法律の専門家である弁護士が介入することで、保険会社は裁判への発展を避けるため、「弁護士基準」に近い金額での交渉に応じざるを得なくなるのです。
弁護士は、あなたが集めた「証拠」を精査し、「適切な通院」によって裏付けられた損害を法的な観点から主張します。 これにより、入通院慰謝料はもちろん、休業損害や将来の後遺障害逸失利益など、示談金全体の増額が期待できるのです。
ご自身の自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、多くの場合、費用を気にすることなく弁護士に依頼が可能です。まずはご自身の保険内容を確認し、事故後なるべく早い段階で弁護士の無料相談を利用してみることを強くお勧めします。
まとめ
交通事故の交渉を有利に進めるための3つの鉄則は、それぞれが独立しているのではなく、密接に連携しています。
- まず、全ての基礎となる「証拠」を集める。
- その証拠を補強し、慰謝料の根拠となる「適切な通院」を続ける。
- そして、集まった証拠と通院実績という武器を携え、「弁護士」が法的な最終交渉を行う。
この流れを理解し、行動することで、あなたが本来受け取るべき正当な補償を手にすることができます。保険会社からの連絡に一人で悩まず、まずは専門家の力を借りることから始めてみましょう。あなたの心身の負担が、少しでも早く、そして正しく回復されることを願っています。