死亡や後遺障害が残った場合における逸失利益の算定方法は?

交通事故による死亡事故および後遺障害における逸失利益(本来得られるはずであった将来の利益)の算定は、被害者の属性や障害の程度に基づき、一定の数式を用いて算出されます。

1. 後遺障害逸失利益の算定方法

後遺障害が残った場合の逸失利益は、以下の計算式で算出されます。 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

各要素の決定基準は以下の通りです。

  • 基礎収入: 原則として事故前年の年収(源泉徴収票や確定申告書)を採用します。
    • 年少者・学生: 全年齢平均の賃金センサス(学歴別など)を基準にします。
    • 家事従事者(主婦・主夫): 賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎とします。
  • 労働能力喪失率: 自賠責保険の後遺障害等級(1級〜14級)に応じて定められた基準値が目安となります。
    • 例:14級は5%、12級は14%、11級は20%など。ただし、職種や実際の仕事への影響により、裁判で修正されることがあります。
  • 労働能力喪失期間: 原則として症状固定時の年齢から67歳までの期間とされます。
    • 高齢者: 67歳までの年数と、平均余命の2分の1の年数のうち、いずれか長い方を採用します。
    • むち打ち症: 14級の場合は5年、12級の場合は10年程度に制限される傾向があります。
  • ライプニッツ係数: 将来得られるはずの現金を一括で受け取るため、中間利息(現在の法定利率は年3%)を控除するための係数です。

2. 死亡逸失利益の算定方法

被害者が死亡した場合の逸失利益は、本人が生存していれば得られたであろう収入から、本人の生活費分を差し引いて算出します。 基礎収入 × (1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

後遺障害との主な違いは以下の点です。

  • 生活費控除率: 本人が死亡により支出しなくなった生活費を差し引くもので、被害者の家庭内での役割によって率が決まっています。
    • 一家の支柱: 被扶養者が1名なら40%、2名以上なら30%。
    • 単身者(男女)・子供・幼児: 30%〜50%(男性単身者は50%、女性や若年女性は30%〜45%など)。
    • 年金受給者: 年金収入に占める生活費の割合が高いため、50%〜80%(概ね60%)と高めに設定されます。
  • 就労可能年数: 18歳(大学卒業予定者は22歳)から67歳までを原則とします。
  • 年金逸失利益: 老齢年金などは死亡により受給できなくなるため、逸失利益として認められる対象となります。

3. 共通の留意事項

  • 中間利息控除: 2020年4月1日以降に発生した事故については、改正民法に基づき法定利率3%を用いたライプニッツ係数が適用されます。
  • 現実の減収がない場合: 後遺障害があっても現実の減収がない場合、原則として逸失利益は否定されやすいですが、本人の努力や勤務先の配慮がある場合、あるいは将来的に不利益が生じる恐れがある場合には認められることがあります。
  • 既払金の扱い: 損害額の計算にあたっては、自賠責保険から既に受け取った金額などは、過失相殺後の損害額から控除されます。
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