弁護士に依頼した場合としなかった場合の手間の差は?

弁護士に依頼した場合と依頼しなかった場合では、「相手方との交渉・連絡の負担」「損害賠償額の算定・立証の負担」「証拠収集の難易度」という3つの大きな側面で手間に決定的な差が生じます。

1. 相手方(保険会社)との交渉・連絡の負担

最大の差は、「全ての窓口を弁護士に一本化できるか」という点です。

  • 依頼しない場合: 被害者は、加害者側の保険担当者(アジャスター等)と直接やり取りをしなければなりません。保険会社とのやり取りは、時間的な拘束だけでなく、被害者にとって非常に大きな心理的ストレスとなり、治療に専念することを妨げる要因となります。
  • 依頼した場合: 弁護士が受任通知を送付した後は、保険会社は被害者に直接連絡することができなくなり、全ての交渉・事務連絡を弁護士が代行します。被害者は保険会社からの度重なる連絡に煩わされることなく、治療や日常生活の回復に専念できるという大きなメリットがあります。

2. 損害額の算定および立証の手間

交通事故の賠償項目は多岐にわたり、それぞれに複雑な算定ルールが存在します。

  • 依頼しない場合: 被害者は自ら「赤い本」などの専門書を調べ、適切な損害額を計算しなければなりません。特に、修理費が時価を上回る「経済的全損」の判断や、将来の介護費用、逸失利益の計算などは専門知識が必要であり、個人で正確に算出するのは極めて困難です。
  • 依頼した場合: 弁護士が過去の膨大な裁判例や「裁判(弁護士)基準」に基づき、最も有利な損害賠償額を論理的に構成します。被害者は、源泉徴収票や診断書などの必要書類を弁護士に提出するだけで、複雑な計算や法的な主張を組み立てる手間を全て任せることができます。

3. 証拠収集と事実認定の手続き

事故態様に争いがある場合、客観的な証拠の収集が不可欠です。

  • 依頼しない場合: 警察が作成する「実況見分調書」や刑事記録、現場周辺の防犯カメラ映像などを個人で入手したり、内容を精査したりすることには限界があります。
  • 依頼した場合: 弁護士は「弁護士会照会(23条の2照会)」という制度を利用し、個人では入手が困難な刑事記録や信号サイクル、防犯カメラ映像などの客観的な証拠を取り寄せることが可能です。これにより、過失割合の交渉においても、動かしがたい事実に基づいた強力な反論を行うことができます。

4. 弁護士費用保険(LAC)利用時の手続的特徴

もし弁護士費用保険(LAC)を利用する場合、弁護士への依頼に伴う「費用の支払い」に関する手間も軽減されます。

  • 依頼しない場合: 加害者に請求する全てのプロセスを自分で行う必要があります。
  • 依頼した場合: LAC制度では、原則として保険会社から弁護士へ報酬等が直接支払われます(直接支払い)。そのため、被害者が一旦大金を立て替え、後で保険会社に請求するという手間を省くことができます。

まとめ

弁護士に依頼することで、「専門知識が必要な調査・計算」や「ストレスのかかる交渉」という膨大な手間を、書類の提出と定期的な進捗確認という最小限の労力に置き換えることができます

一方で、依頼に際しては弁護士との面談や委任契約の締結、事実関係の説明といった初期段階の手間は発生しますが、その後の解決までの全工程を考えれば、被害者の負担は劇的に軽減されると言えます。

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